2012年3月11日日曜日

一般名処方加算について


一般名処方加算
来る平成24年4月に、薬剤を一般名で記載して処方箋を発行した場合、通常の処方箋料(49点)に加え、「一般名処方加算(2点)」が算定できることとなります。この改定の狙いは、調剤薬局における在庫管理の効率化とされています。医師が処方せんに後発医薬品の銘柄を記載する従来運用の場合、調剤薬局で後発医薬品を多種に在庫として抱える必要が出てきます。この問題に対するアプローチとして、「処方箋の一般名による記載」が有効であると考えた訳です。つまり、薬剤の銘柄(製品名)を処方せんに記載するのではなく、成分を元とした「一般名」で記載することで、調剤薬局で後発医薬品を自由に処方できるようにし、後発医薬品の普及を促そうというのが狙いです。

一般名は難しい
例えば「ガスター」は「ファモチジン」という一般名があります。普通に考えれば「ガスター」が「一般」名に思われますが、学会で使用される成分名を元にした「ファモチジン」が一般名のため、処方せんに「ファモチジン」と記載したら2点(20円)分、医療費を高く請求できるということになります。そのため、24年4月以降、医療機関では「ガスター」と呼ばずに、「ファモ」等の一般名をより身近にするような薬の愛称が流行するでしょう。さらに、一般名処方加算(処方せん1枚あたり20円)欲しさに、「この薬の一般名なんやねん?」的な話題が医療機関で流行ると思います。医療機関で働く医療事務員に人たちも、必死になってこの難解な「一般名」を覚えなくてはならず、医療機関の会計窓口では少なからず混乱を招くことでしょう。

一般名加算の存在意義を問う
さて、ここまでして「一般名」を流行させる必要はあるのでしょうか?「先発品」を記載して「後発品に変更して良いよ」と一筆添える今までの方法でも、調剤薬局の在庫管理問題は十分に解決できます(後発医薬品名の銘柄が処方せんに記載されることが問題なので、先発品を記載して「変更可能」と記載すれば、調剤薬局側で自由に処方できます)。診療報酬で考えても、平成20年4月時点に点数が逆戻りしただけです。この改定は、ただただ、学会で使用されている「一般名」を普及させたいだけとしか思えなくなります。
平成20年 平成22年 平成24年
処方せん料
後発品を含む(70点)
後発品を含まない(68点)
処方せん料(68点) 処方せん料(68点)
一般名処方加算(2点)

それでも後発医薬品は普及しない
前回、後発医薬品の普及でも述べましたが、先発品と後発品は効能は同じであると厚生労働省がいくら広報しても、ブランド志向の高い日本では、ブランド品の「先発品」の需要が高いです。さらに言うと、どこの調剤薬局に行っても、国民皆保険制度により、常に70%ディスカウントされます。そんなディスカウントが効くお店でユニクロのパーカーを買う人は少ないはずで、プラダやグッチなどのブランド品を買う方がお得と考えるはずです。つまり、日本人の異常なまでのブランド志向と、充実した保険制度が存在する限り、後発医薬品は普及しないという結論になります。(本気で、後発医薬品を普及させるためには、先発品と後発医薬品を含めた平均価格で、保険請求することにし、差額分は自費請求にすると、後発医薬品が普及し、社会負担も減ると思います。)

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